多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は定期的な排卵が阻害されたり、不正出血が起きたり、無月経や月経不順などの月経異常がおき、不妊の原因にもなります。
日本産科婦人科学会の診断基準では、
①月経異常がある
②エコー所見で卵巣内に小さな嚢胞(卵胞)が多数ある
③血中男性ホルモンが高値、またはLHが高値かつFSHが正常
の3つが揃うとPCOSと診断されます。
妊娠が可能な年代の女性の約5~8%で発症するといわれています。
PCOSの場合、卵巣刺激中に卵巣過剰刺激症候群が起こることもあるため、薬の決定などはより慎重に行う必要があります。
当院ではPCOSの方に対して、ホルモン療法によるタイミング治療や人工授精、さらには体外受精・胚移植を行っています。
当院でのPCOSと診断された方の体外受精・胚移植における治療結果は以下になります。
体外受精・胚移植でPCOSと診断された方の培養成績(2022年1月~2024年12月)
|
採卵件数 |
平均年齢(妻) |
AMH |
採卵数 |
受精卵数 |
凍結できた胚数 |
採卵 |
2325件 |
36.1歳 |
2.6 |
12.2個 |
7.6個 |
4.6個 |
PCOS |
224件(9.6%) |
31.5歳 |
6.9 |
24.0個 |
15.5個 |
7.9個 |
PCOSと診断された方の妊娠成績(2022年1月~2024年12月)
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移植件数 |
平均年齢(妻) |
臨床妊娠数 |
流産数 |
妊娠継続数 |
移植 |
2502件 |
34.8歳 |
1365(54.6%) |
302(22.1%) |
1049(41.9%) |
PCOS |
332件(13.3%) |
31.9歳 |
232(69.9%) |
29(12.5%) |
203(61.1%) |