今回はアシステッドハッチング(AHA)についてご紹介させていただきます。
アシステッドハッチングとは透明帯孵化補助法とも呼ばれ、卵の殻(透明帯)を人工的に
薄くしたり穴をあけたりすることで、胚が着床しやすいようにする方法のことです。
まず初めに、アシステッドハッチングはどのように行うのでしょうか。
大まかに3つの方法があります。
- 透明帯に細い針を刺して開口する機械的な方法
- 透明帯を溶かす溶液を用いる化学的な方法
- レーザーを用いて透明帯を開口するレーザー法
当院では安全、簡便且つ短時間で行えることから③レーザー法を用いてアシステッドハッチングを行っております。
次に、「アシステッドハッチングは胚が着床しやすいようにする方法」と文頭でお伝えしましたが、具体的にはどういうことなのでしょうか。
胚は下の写真のように徐々に大きくなり、最終的には透明帯を破って(孵化)、着床します。
言い換えますと、胚が着床するには孵化することが必要ということになります。
しかし、透明帯が厚かったり、凍結融解によって透明帯が硬くなったりすると、胚の力のみで自然な孵化がうまくすすまない場合があります。
そこでアシステッドハッチングを行うことによって、殻の中から胚を外に飛び出やすくしてあげるとともに、着床につながることが期待されます。
アシステッドハッチングのメリット
|
このように着床を助けてくれるアシステッドハッチングですが、少なからずデメリットも存在します。
アシステッドハッチングのデメリット
|
- レーザーによる胚への熱の影響
レーザーの熱が胚へ影響を与える可能性が危惧されていますが、当院ではレーザーに安全領域が設けられておりますので、透明帯にのみ安全に照射を行っております。
- 多胎リスク増加の可能性
これまで多胎とアシステッドハッチングの関連性が指摘されていますが、未だはっきりとした結論はでておらず、多胎妊娠増加の可能性については否定できません。
最後に、移植2回目以降の患者さまを対象にアシステッドハッチングを行っておりますが、なにかご不明点等ございましたら、移植前に医師や胚培養士にお声がけいただければと思います。