こんにちは、胚培養士です。
今回は精液検査についてご紹介します。
精液検査は、男性の妊孕力(にんようりょく 妊娠しやすさ)と男性不妊症を判断する重要な検査の一つです。
精液量や精子の濃度、運動率などを調べます。
精液所見は基準値がWHO(2021年 WHOラボマニュアル第6版)によって定められています。
基準値は、12ヵ月以内に妊娠した女性のパートナー(男性)の精液所見のうち下から5%の順位に当たる数値で、平均値ではありません。
検査結果の見方は次の通りです。
液量:精液の量です。
精子濃度:精液1mL中にどれくらい精子がいるかを表しています。
運動率:精液中で運動している精子の割合です。
総精子数:全精液中にどれくらい精子がいるかを表しています。
生殖補助医療の適応となる場合は次の通りです。
〇実際の検査結果はどのようになっているのか?
2024年1月から2025年6月までに当院で行われた精液検査の件数および平均は以下のようになっています。
精液中に精子がどれくらいいるかは肉眼では分かりません。
実際に検査を行った方の結果を見てみると、約3割の方が精液量、精子濃度の項目で基準より下回っていることが分かりました。
不妊原因は、男性側と女性側で半々だと言われています。そのため、不妊治療を行うにあたって、まず精液検査を行うことをお勧めしています。
精子が少ないと判断された場合でも不妊治療を行うことが可能です。不妊治療は時間との勝負でもあります。適切な検査や生殖補助医療を行うことで、妊娠へのステップを短縮することに繋がります。
〇精子が確認されなかった場合
精液中に精子が確認できない方は、当院が提携している医療施設に紹介となります。
こちらは、2024年1月から2025年6月までで、当院から提携病院に紹介し精巣精子採取術(TESE)を施行した件数です。TESEとは精巣から外科的に精子を採取する方法です。