不妊治療とは、妊娠を望む男女のカップルが性生活を行っても、一定期間、妊娠の兆候がない場合に行われる治療です。
今は、赤ちゃんの14人に1人が生殖補助医療(体外受精)で産まれていることが報告されています(※1)。不妊治療は珍しいものではなくなりました。
(※1)公益社団法人日本産科婦人科学会「ARTデータブック」(2020年)より引用。
今回は、不妊治療ではどのようなことをするのか、検査や治療内容についてご紹介します。
不妊治療では検査をして不妊の原因を確認します。検査後、原因に応じて患者様に合った治療法をご提案し、不妊治療を進めていきます。
[不妊治療の流れ]
1.初診
2.検査
3.一般不妊治療
4.生殖補助医療(ART)
1.初診
現在のお悩みや婦人病の既往歴などをお伺いします。
初診では医師から不妊治療の検査や治療内容についてご説明させていただきます。ご説明するのは一般的な不妊治療の内容です。それぞれの患者様に合わせた治療方法や費用については検査後、詳しくお伝えします。
2.検査
不妊の原因を確認するために検査を行います。不妊の原因は女性だけではなく、男性にあることもあります。一般的に不妊の原因は卵子側に4割、精子側に2~3割、両方に2~3割、どちらかわからない原因不明が1割とされています。
不妊の原因を特定するため、また、不妊治療を成功に導くためには女性・男性どちらも検査を受けていただくことが大切です。
{女性の検査内容}
・卵巣予備能検査(AMH検査)
・子宮卵管造影検査
・超音波検査
・ホルモン検査
・子宮鏡検査
・慢性子宮内膜炎検査(BCE検査)
・ERpeak子宮内膜胚受容期検査
・子宮収縮検査
{男性の検査内容}
・精液検査
{その他の検査}
・クラミジア検査
・フーナーテスト
・甲状腺機能検査
・感染症検査
・ビタミンD検査
・銅亜鉛検査
◎不要な検査は行いません
なごやARTクリニックでは、不要な検査はなくしていきたいと考えています。
患者様のご負担を減らせるよう、適宜、必要な検査を受けていただきます。当院で行う検査のほか、他院の検査結果があれば採用し、1人1人の患者様に合わせた治療を進めていきます。
3.一般不妊治療
検査後、原因や患者様のご希望に合わせて治療をスタートします。基本となる一般不妊治療は以下です。
[一般不妊治療の内容]
・タイミング療法
・人工授精
・卵管鏡下卵管形成術(FT)
不妊は1割が原因不明です。原因がわからない場合は排卵周期を確認して性生活のタイミングを合わせるタイミング療法からスタートし、徐々に高度な治療にステップアップしていきます。
4.生殖補助医療(ART)
一般不妊治療で良い結果が得られなかった場合は生殖補助医療(ART)にステップアップします。患者様の状態やご希望によっては、検査後、すぐに生殖補助医療に進むこともあります。
[生殖補助医療(ART)の内容]
・体外受精
・顕微授精
◎先進医療について
先進医療とは、高度な医療技術により大学や研究機関で一定の成果報告を挙げている診療です。
患者様の状態やご希望に合わせ、先進医療を行うことで不妊治療の効果を高められる可能性があります(※)。
(※)先進医療は治療効果を保証するものではありません。
患者様や症状によっては先進医療の効果が見られないケースがあります。
[先進医療の内容]
・子宮内フローラ検査
・ERpeak子宮内膜胚受容期検査
・PICSI(ピクシー)
・タイムラプス培養
【不妊治療はご夫婦いっしょの受診が大切です】
不妊の原因は男女どちらにあるかわからないことが少なくありません。不妊治療を成功に導くためには、ご夫婦いっしょの受診が大切です。
不妊治療を始める時期に明確な決まりはありませんが、年齢が高くなると卵子の機能が低下し、妊娠できる可能性が下がっていきます。「不妊かも」と感じたときは、できるだけ早めにご夫婦で受診することをおすすめします。