こんにちは、胚培養士です。
今回は培養室の1日の業務をご紹介します。
培養室の設備についてはこちら→培養室紹介-培養設備について-
―採卵に伴う業務(8:30~)-
・採卵
採取された卵胞液(卵子が含まれる液体)から卵子を探し、培養液に移して培養します。

▲中央下部に映っているのが卵子です。
・精液検査および精子の調整
お預かりした精液は、まず液量、精子の数や運動性を調べます。その後、遠心分離による密度勾配法を行い、さらにSwim up法を行い良好精子を回収します。回収した精子の状態で受精方法が決まります。

▲精子
・受精操作
卵子に調整した精子をふりかける方法(体外受精)と、1つの精子を直接卵子に注入する方法(顕微授精)で卵子と精子を受精させます。

▲体外受精:卵子に精子をふりかけます。

▲顕微授精:細い針の中に精子が入っています。この針を卵子に穿刺し、精子を注入します。
体外受精後、受精の兆候が見られない卵子が多かった場合はレスキュー顕微授精を行うこともあります。
・胚の培養および観察
タイムラプスインキュベーターという胚の観察を継続的に行えるインキュベーター(培養庫)を使い、胚を培養しています。受精の有無や胚分割の確認、凍結するための胚盤胞の評価を行います。

・胚の凍結
胚盤胞まで成長した胚を専用の凍結液を用い、-196℃の液体窒素に浸けることで凍結します(半永久的に保存が可能)。
凍結が上手く出来ていないと、融解したときに変性(壊れてしまって移植できない状態)となってしまいます。そのため胚培養士の研修では凍結が最初の山場になります。

▲胚凍結に使用する専用の器具です。
▲器具の先端に胚を載せ、液体窒素に浸して凍結します。
―胚移植に伴う業務-
・胚の融解
専用の融解液に凍結した胚を浸すことで融解します。融解後は培養庫に入れ、数時間後に状態を確認し移植します。

▲融解直後の胚盤胞はやや縮んでいますが、培養することで元の状態に回復します。
・胚移植
融解した胚を患者さまのお腹に戻します。胚培養士はお腹に戻すための細長いカテーテルに胚を吸引し、医師に渡します。移植終了後にカテーテル内に胚が残っていないか確認をします。

▲胚培養士がカテーテルに胚を吸引し、医師に渡します。
このほかにも採卵や移植の報告書の作成、次の日に使用する培養液の準備など、さまざまな業務が培養室で行われています。
これらの業務を安全に行い、一人でも多くの患者さまに妊娠していただくため、胚培養士は常に手技のトレーニングや最新の知見の収集などをしています。
